作品に込められた「“今”という時代」に、どのように向き合っているのか・・・
この問いに応えられなければいけない。
陶芸の世界には、“茶陶”と言われる分野がございます。お茶道具を作る人達です。
陶器で代表されるものは、茶入・茶碗・水指です。ですが、一般に使われている食器や花器・酒器も、基はお茶道具から来ているものが多いです。
お茶道具で大事なのは「3要素」です。
なり・ころ・ようす これが揃っているかが大事です。
なり(形) | ころ | ようす |
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用に基づいた形 (形がいいということ) |
暗黙の内に決まってくる大きさ (使いやすいほどよい大きさ) |
醸し出す雰囲気
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そして、条件と約束事 です。
品格 | 品位や雅味(がみ)を感じ、犯しがたい風格をいいます |
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侘び |
渋味、寂の覚味をさします。茶碗が心に触れて思いを起こし、空間の美的趣味を感ずることです。つまり侘び茶碗は“疵”や“繕い”があったり、火間や釉薬のかけはずしなどのあるものが多いです。また『見わたせば花も紅葉もなかりけり うらの苫屋の秋の夕暮れ』の古歌に現れた、秋の夕暮れに感じられる風情です |
量感 | 拡張感をいいます。つまり小さい茶碗でも大きな尊重感を覚えるもので、「広さ」「深さ」「大きさ」の威厳を感ずることです |
力感 | 積極的な圧力感を覚えるもので、その力強さや威圧感をさします |
浄感 | 清浄感のことで、茶道でいう、和敬清寂(わけいせいじゃく)に合致する茶碗をさします |
茶陶は、用の美ですので完全美は求めません。
あと一歩の美(物足りなさ)、そこが美しいのです。
いいかえれば、それが魅力です。
口縁の広がりは、開放感を表し、口縁の内側にすぼまったのは、内への力を込める求心(物事を内面に深く掘り下げようとするさま)である。これこそ利休の茶に対する考えである。
一文字型の無機物の茶碗が生きている様に見せるため、口縁に少しうねりを付けることがある。又、腰の線にも部分的にヘラを入れて動きをだす場合も多い。ここちよいゆがみ。